www.tamuken.net

2005年04月20日 財務金融委員会

○田村
民主党の田村謙治でございます。
今回の二つの法案について質問させていただきますけれども、最初に民主党の方の証券取引委員会設置法案について御質問をさせていただきたいと思います。まだ時間配分になれていない点もございますので、そちらを優先的にということでお許しをいただければと思います。 昨日も、代表質問、本会議において津村議員が質問をなさって、それに対して御答弁をいただいておりますけれども、昨日は、特に与党側ではというか自民党側では、前々日の郵政法案のさまざまな議論で大変寝不足であったり、あるいは御欠席の方も非常に多かったというふうに思いますので、そういった方に改めてというか、そういう方にということを含めて、昨日と重なりますけれども、最初に、そもそもの我が国証券市場の問題点について、民主党の法案提出者にお伺いをさせていただきます。

○平岡議員
昨日も答弁させていただきましたけれども、我が国証券市場においては、公正性、透明性に欠けているということが大きな問題であるというふうに認識しているところでございます。 これまでも数々の証券不祥事といいますか、不正取引が問題となってきております。株価操縦、インサイダー取引、有価証券の虚偽記載といったような数々の問題がありますけれども、こうしたことが起こっていることによって、個人投資家あるいは一般投資家の方々がこの証券市場に対する信頼を持ち得ずに、どちらかといえばプロの投資家がこの世界で活躍している。そのために、株式市場は怖いというような、あるいは株式の取引は怖いといったような印象を与えてしまっているということが大きな問題となっていると思います。その結果かもしれませんけれども、我が国の金融資産における株式の保有というのは八%にしかすぎないというふうな状況になっているということであります。
そういう意味で、私たちは、この証券市場において投資家の皆さん方が信頼の持てるような市場にしていかなければいけないという観点から、やはりこの市場をしっかりと監視できる組織というものが必要である、そういうような視点に立って今回の法案を提出させていただいたということでございます。

○田村
ありがとうございました。
今お話をいただきましたような問題意識のもとに、今回のその法案でございますけれども、その法案がそもそも目指しているところというものはどういったものでございましょうか、お答えいただければと思います。

○岩國議員
このたび証券取引委員会設置法案を提出させていただきました背景は、今までの我が国の戦後の資本市場、これはアメリカ的な法制とともに制度が輸入されたのですけれども、戦前の銀行中心の経済とその辺が非常に混乱されて、アメリカの資本主義市場というか、マーケットのシステムというものが日本に持ってこられたわけです。
どういう混乱が起きたか。例えば経営権にしても、どこに経営権があるかということは非常に不透明であった。昔は銀行にあった。戦後、それが株主のものであるということから、株主の代表ということで、いわゆる社長、会長、そこに経営権があるかのごとく錯覚されてきました。しかし、依然として持ち合い株ということのもとに、経営権は本当は社長に存在しないで大株主にそれが存在しておったわけです。
こういった、経営権がどこにあるかということがはっきりしないという不透明な資本主義制度のもとで、証券会社によるいろいろな株の持ち合いがどんどん進められてきた結果として、株式を買っても一般投資家は経営権を買っているという意識は全くなかった。これが、最近のライブドア、フジテレビのときに、経営権というのは株主のものなのか経営者のものなのか、だれのものなのかということが初めて問われたような結果です。
証券取引委員会、いわゆるアメリカのSECの場合には、御承知のように、大混乱と苦悩の中に生まれたSECは、そういうマーケットを通じて不正な取引、相場操縦を徹底的に禁止することによって株主中心の資本主義というものを形成してきた。その辺が、我が国においては、残念ながら、繰り返すようですけれども、おくれてきておる。そのおくれを一歩でも二歩でも三歩でもこの機会に取り返さなければならないという思いから、私どもは、証券取引委員会を設置すべきだ、そのように思っております。
SECの規模等についても、アメリカとは十倍ぐらいの違いがあります、市場規模もある程度違いますけれども、この十倍。さらに、その権限が違うということ。アメリカのSECの場合には、突然捜査員が会社にあらわれるんです。日本の場合には、八条委員会であるがゆえに、検察庁、法務省、金融庁、いろいろなところにお伺いを立てる。お伺いを立てる間にそれが報道され、報道つき、予告つき、隠ぺい期間つき、逃亡期間つき、こういう捜査では真相究明に非常にほど遠い、そういう思いを私たちは持っております。

○田村
ありがとうございました。
私も、今御説明いただきました背景、そして日本版のSECの必要性について認識を共有するものでございますけれども、今まさにお話がございましたように、アメリカのSEC、非常に規模も大きい、当然独立性が非常に高いということでありますけれども、そのアメリカのSECの人員あるいは年間の告発件数といったようなものをお教えいただければと思います。参考人にお願いします。

○長尾政府参考人
お答え申し上げます。
米国のという御質問だと思いますけれども、米国のSECでございますが、定員は、私どもの承知しているところでは、二〇〇五会計年度におきましては三千八百七十一人でございます。そして、SEC関連の刑事案件、略式起訴等でございますけれども、これは二〇〇三会計年度におきましては二百四十六人・社というふうに聞いております。

○田村
それに対して、日本の証券取引等監視委員会の人員あるいは年間の告発件数といったようなものを、対応するものを教えていただければと思います。

○長尾政府参考人
米国のSECと我が国の証券取引等監視委員会では、御案内のとおり、その対象とする証券市場の規模あるいは機能等が異なっておりますので、人員、件数というのはそのまま比較することはなかなか難しい点がございますけれども、申し上げますと、日本の、我が国の証券取引等監視委員会の定員、これは、今年度、平成十七年度末におきまして、地方の財務局を含めて五百人超の体制が整う見通しでございます。それから、刑事告発案件では、平成十五事務年度では二十八人・社でございます。
以上です。

○田村
今御説明いただきましたように、アメリカのSECの体制あるいは実績と、それに対応する日本側の証券取引等監視委員会の人員、あるいは実際その人員での実績というのはまさにけた違いの差があるわけでございますけれども、そういった数字を見ても、かなり大きな違いがあるんだろうというふうに思います。もちろん、アメリカと日本の市場規模の違いというのはありますけれども、それ以上の差があるんではないかなというふうに感じる次第でございます。 そしてまた、先ほど民主党側の法案提案者からも話がありましたように、人員だけではなくて、まさに権限も非常に違う。隠ぺい期間あるいは逃亡期間という言葉自体、非常に深い意味があると私は思っていますけれども、そういった状況である中でも、現体制、証券取引等監視委員会というのは十分な機能を有しているのか、そして十分な体制であるのかというお考えを大臣にお伺いできればと思います。

○伊藤国務大臣
お答えをさせていただきます。
金融庁といたしましても、証券市場の信頼性というものを確保していくためには、市場の透明性、公正性というものを保持していく、このことが極めて重要だというふうに思っております。
こうした観点からも、これまでも市場監視機能あるいは体制の強化を着実に進めてきたところでございまして、具体的には、市場監視機能の強化といたしましては、昨年六月に成立をいたしました証取法の改正法によりまして、本年四月より、インサイダー取引等の不公正取引、有価証券届け出書等の虚偽記載を対象とする新たな行政上の措置としての課徴金制度というものを導入する、本年七月からは監視委員会の検査範囲を拡大していく、さらには有価証券報告書等の虚偽記載等に係る検査、報告徴求権限を関東財務局から監視委員会に移管する、こうした機能強化に取り組んでまいりました。
また、市場監視体制の強化といたしましては、課徴金制度の導入に伴いまして、審判官、審判手続室、課徴金調査・有価証券報告書等検査室を設置いたしまして、本年七月にはディスクロージャーをめぐる問題を専担する企業開示課を設置することといたしております。
また、監視委員会の体制につきましては、先ほど監視委員会の事務局からも御説明がございましたが、厳しい定員の事情のもとにこれまでも増員について努力をいたしまして、この結果、十七年度末には、財務局と合わせますと五百人超の体制が整うこととなります。
金融庁といたしましては、これらの体制を最大限に活用して、市場に対する国民の信頼というものを得るべく努力を続けてまいりたいというふうに思っております。
なお、組織論の問題についてでありますが、近年、金融サービス分野におきましては金融コングロマリットというものが出現をしている、そして、そのことによって金融の担い手の統合や、あるいは金融市場及び商品の融合、横断化といった流れが急速に進展しています。こうしたことを踏まえますと、金融行政当局に関しましても、機能別に組織を編成することが大切なことではないかというふうに考えております。
したがいまして、金融庁といたしましては、証券行政部門を銀行、保険行政部門から切り離して、以前のような業態別の体制に戻すことではなくて、現在の機能別の編成というものをベースにして、一元的な組織のもとで必要な改革を推進することが大切なことではないかと考えておるところでございまして、今後も、引き続き、市場の監視体制の機能、そして体制整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

○田村
どうもありがとうございました。
先ほど民主党の岩國議員からお話をいただいたことの、ある意味では補完のような話になりますけれども、私もまさに日本版のSECが必要だという観点からその背景を若干お話しさせていただきます。
先ほど岩國議員からお話があったようなアメリカでのさまざまな背景もあって、それで日本ではどうかというような話になるわけですけれども、まさに日々刻々と事態が変化するような証券市場において、とにかく非常に判断の迅速性が求められる。それを検察庁や刑事手続に任せると、どうしても時間がかかってしまうから、やはりそこは別の機関がしっかりと監視、監督をする、そして、機動的に法を運用する、そして市場の現場で制裁を科すという、非常にタイムリーな活動というのが重要になってくるんだろうという考えがあるわけでございまして、そういった考えのもとでアメリカのSECを初めとして諸外国の監督機関というのは活動をしているし、先ほど岩國議員からも話がありましたように、さまざまな権限を持っている。まさに刑事罰にかわるような民事制裁ですとか、今大臣からもお話があった、日本でも導入している課徴金、あるいは再発防止のための付随命令や緊急停止命令、さまざまな措置を駆使して市場の不正ないし市場犯罪に対処しているということなんだろうと思います。
もちろん、日本もそういった同じ目的を共有していて、現在の証券取引等監視委員会というのも、一生懸命活動しているというのは私も認識をしているわけですけれども、ただ、まだまだその制裁手段というものは非常に限られているということ、あるいは審判手続というものが欠けているために、結局は、刑事告発にしても行政処分にしても常に裁判所での訴訟にたえられるかという観点から判断されてしまう。先ほど岩國議員から、結局、各省庁にいろいろと根回し等を含め妥協しなければいけない、まさに逃亡期間といったようなものがあるために、独立性がまだまだ十分ではない、どうしても法の運用も消極的になってしまう嫌いがあるという批判が多々あるというふうに私も認識をしておりますし、私自身もそういうふうに感じるわけでございます。
その結果、結局、不公正取引というものがまだまだ野放しになっているんではないか。その一端が、最近、まさに去年、ことし、さまざまに、その氷山の一角として噴出をしている幾つかの大きな事件なんじゃないかなというふうに思うわけであります。まさに投資家の市場への信頼を回復するというためには、しっかりとした独立性や中立性を持って不公正取引ですとか違法勧誘といった違反行為をしっかりと摘発する。それが、実績にもあらわれているように、まだまだ不十分なんだろうと私も強く思うところであります。
そういった意味で、まさに日本版のSECのように、審判機能を有して、そして多彩な制裁手段を有して迅速に法を運用することができる、そういった機関というものがぜひとも必要なんだろうというふうに考える次第であります。
さまざまな観点がありますけれども、例えば、今回の民主党の法案についてもう少しお伺いをさせていただきますと、民主党の案においては、証券取引委員会というのを、金融庁のもとではなくて、まさに独立をさせて内閣府に置くというふうに考えていると聞いておりますが、その理由についてお話をいただければと思います。

○平岡議員
お答えいたします。
今委員の御指摘のあったように、私たちの提案しております証券取引委員会については、国家行政組織法第三条に基づくいわゆる三条委員会という形で内閣府のもとに置くことを提案させていただいております。現在の証券取引等監視委員会が金融庁のもとに置かれているいわゆる八条委員会と言われているものと比べれば、法律的にも独立性の高いものというふうに位置づけているわけであります。
先ほど独立性の話がございましたけれども、私も昨日の答弁でも申し上げました、金融担当大臣がETFは絶対もうかるといったようなことをしても、何らこれについての追及が行われていないというような状況が発生しているようでは、本当の意味でのこの委員会の独立性というものが達成されていないというふうに思っています。そういう意味で、三条委員会にすることによって、そうした政治的な動きに対しても、しっかりと毅然と対応できる委員会であることが私たちとしては望ましいというふうに考えているわけであります。
委員も御承知のとおり、八条委員会と三条委員会の違いというものについてはさまざまな視点があるわけでありますけれども、八条委員会について言えば、基本的には処分権限を有しないという仕組みになっているということで、現在の八条委員会である証券取引等監視委員会についても、勧告あるいは告発の権限しか置かれていないということであります。私たちは、三条委員会にすることによって、みずから処分を行うことのできる権限を有するという形で独立性の高いものとしていきたいというふうに思っているわけであります。
もともと証券取引等監視委員会がつくられたときの経緯を考えてみますと、当時の証券不祥事の中で、コーチとアンパイアが一緒になっているというような批判の中からコーチとアンパイアの分離ということが求められてきたわけでありまして、そのことによって証券取引等監視委員会ができたわけでありますけれども、先ほどの例でも申し上げましたように、まだまだ証券市場監視機能というものについては十分な機能が果たされていないんではないかというふうに私たちは思っているわけであります。
そういう意味で、今回の民主党案については、独立性がしっかりとある、処分権限も持った証券取引委員会として、内閣府のもとに置かれる三条委員会として設立するということを提案させていただいているわけでございます。

○田村
ありがとうございました。
まさに独立性がどれだけ確保されるかということで、結局、今の証券取引等監視委員会がしっかりと独立をしていないというのは、今、平岡議員からもお話をいただいたように、明らかな部分があるんではないかなというふうに私も感じている次第であります。
確かに、前の大蔵省と比べた場合には、先ほど大臣からもお話がありましたように、金融庁となって、例えば人員の面で、体制の一環の人員の面で、その人員が強化されたというようなこともあると思います。ただ、それも、結局、さまざまな役所の人員において、現在総務省の行政管理局の査定に任せっきりになってしまっていて、そうすると、基本的には、各省庁、各部署が横並びで現在の行政改革のもとでは定員を削減する。ある意味では、それをかわすために金融庁という独立したものがあると人員が確保しやすい。そして、証券取引等監視委員会というしっかりした名前の組織があれば、それなりに人員が確保しやすい、理由も立ちやすい、まさに行政管理局の査定官を説得しやすい。そういう事情は、私も中におりましたから十分わかりますけれども、それは、本来、まさに大臣を初めとする政治のリーダーシップがあれば、しっかりとしためり張りをきかせた人員配置ができるんだろうというふうに私は考えるわけでございます。
そういった中で、今回、民主党の法案では、日本版SEC、当然、規模を拡大するということになるんだと思いますけれども、多くの人材というものをどういったところから集めてくることを考えていらっしゃるのか、イメージを教えていただければと思います。

〔委員長退席、遠藤(利)委員長代理着席〕

○岩國議員
田村委員の御質問にお答えいたします。
先ほど伊藤大臣の方から、人数的には五百人と。向こうの規模と比べると、現在は四対一、過去においてはもっと接近したときはありました。したがって、五百人というのは数字的には一つのめどだろうと思いますけれども、問題は、今田村委員のおっしゃったように、どういう経験、どういうキャリアを持った人から集めてくるかということが非常に大切ではないかと思います。
先ほど平岡委員の方から八条委員会ではなくて三条委員会、これは八条委員会以上に独立性が強く、より多くの権限を持つ、独立性と権限を持つということは絶対的に必要なんです。そういうところでなかったら、逆に人材は集まらないわけです。相手がコングロマリットになるからこっちもコングロマリットみたいに横断でやりましょう、こういうチープな発想から政府が考えられているとしたら、これは大間違い、いい結果は出てこないと私は思います。
金融はいろいろな業務を兼業していく、そういう流れもあるでしょう。だからといって、証券の仕事が本当にわかっている人間でなければ、保険の仕事はふえた、不動産の仕事はふえた、銀行の貸し付けがふえた、個人ローンがふえた、さあ相手はコングロマリットになったから、こっちも少し間口を広げましょうか、そういう問題ではないんですね。証券の取引というのは、鋭く、早く、深く、この三つがキーワードだと思うのです。この三つがこなせないような人を幾ら集めてみても、組織を横断的につくってみても、何の役にも立たない、これが私がウォール街にいて得た実感であります。
したがって、人材をどこから採るかということは、その前にどういう組織をつくってみせるか、権限と組織があるからやりがいのある仕事なんだということでもって、優秀な人材が今の給料を捨ててでも公のために働きたい、そのような組織と環境をつくらなければ、今の八条委員会では、どんなにかねや太鼓をたたいても、やる気のある人材は集まらない。私はそれは断言しておきます。
そして、金融がコングロマリットになればなるほど、日本的SEC、今は日本的SECになっていますけれども、日本版SECの規模も大きくしなければならないのか。ある程度は必要でしょう。しかし、やはり質と能力だと私は思います。金融サービスというのは、今我が党が考えているように、投資家保護法案なりあるいは金融サービス法案なり、そういった法案で対処できるものがほとんど。しかし、企業の経営権をめぐるような高度な取引というのは、独特の日本的SEC、三条委員会のもとで、権限と能力を持ったSECが設置されなければ永久に後手後手に回る、そのように私は思います。
アメリカでSECをつくったとき、田村委員も御存じだと思いますけれども、一九二九年、アメリカの株式市場は絶頂期にありました。そのバブルの中で、不正がたくさん行われておったのです。まさにやりたい放題。その中で一番有名な、悪名をとどろかせておったのがケネディ大統領のお父さんだったのです。そのジョセフ・ケネディは何をやっておったか。あらゆる風説を流し、あらゆる相場操縦を起こし、そして市場を結果的には混乱させました。そのとき大統領になったのが、フランクリン・ルーズベルト大統領。フランクリン・ルーズベルト大統領は、アメリカ経済の再生のためには、アメリカの資本主義、アメリカの市場を透明、公正なものに立て直さなければならない、そういう決意のもとに大統領がつくったのがSEC。問題は、だれを委員長にするかということなんです。人の問題。
フランクリン・ルーズベルト大統領が指名したのは、ジョセフ・ケネディだったのです。アメリカの社会があっと驚く人事。しかし、これこそが一番の名人事だったのです。初代のSEC委員長に任命されたジョセフ・ケネディがやらなきゃいけないのは、自分がやってきたことを全部禁止することだったのです。彼は、何をどうやれば不正が起きるかということを一番熟知している人間。それを初代の委員長にした。アメリカのSECの栄光の歴史はそのときから始まった。これがアメリカで一番よく知られているSECの誕生の歴史です。私は、日本の場合にも、ジョセフ・ケネディに相当する人材には事欠かないと思います。永田町にもあるいは兜町にもそういう人はいるでしょう。
しかし、そこまでいかなくても、八条委員会を三条委員会にして権力を持たせる、そして独立性を持たせる。人材は必ず集まると思います。内外の経験を持った若い人もベテランもいらっしゃるでしょう。まず、そういう日本のSEC、日本的SECが日本版SECになったというメッセージ、それが優秀な人材を集める最高の手段だと私は思います。

〔遠藤(利)委員長代理退席、委員長着席〕

○田村
私も大変勉強になりました。ありがとうございます。
まさに今岩國委員がおっしゃったように、人材というものは非常に大きいというふうに思います。アメリカのSECの初代のトップにそのような大抜てきをする、そこはなかなか今の日本の政権では望むべくもないというふうに思いますけれども、人材と組織論というのは当然絡んでくるわけでありまして、先ほど大臣がおっしゃったような金融のコングロマリット化が進んできて一元的にやっていく必要があると、確かにそこは、例えばイギリスは、私もまだ不勉強でありますけれども、イギリスはそのような体制でやっている、そしてそれなりの成果を上げているということも私は聞いているわけでございます。
しかしながら、先ほど平岡委員からも話がありましたけれども、そもそも金融監督庁ができた際には、企画と検査監督を分離する検査監督分離論というものが主流というか採用されて、金融の企画部門は大蔵省に残って、検査監督機能については独立をして金融監督庁になったはずであったのが、中央省庁再編という大きな議論になったら、いつの間にかそれは忘れられて、金融制度の企画立案機能は大蔵省と切り離して、もともと切り離すという議論が採用されたはずだったのに、結局、検査監督部門と一緒になって金融庁になったという経緯があります。それを証明するように、まさに当時の政権、当時の大臣を初めとする与党の方々が、しっかりと認識を持っていなかったというのがそれに端的にあらわれていると私は思っているんです。
そこで、まさに人材という話になるわけですが、現在の証券取引等監視委員会の幹部――課長補佐には金融庁のプロパー、いわゆるベテラン、ノンキャリアと言われている方々が係員からずっと上がってきて課長補佐になる、そういう方ももちろんある程度いらっしゃいますけれども、課長以上あるいは課長のすぐ下の筆頭補佐に当たる幹部の方々というのは、ほとんどの方がいわゆるキャリア、それも財務省のキャリアで占められているという状況にあるのは、大臣はもちろんよく知っていらっしゃると思いますし、私も、私の知っている人がたくさん行っていますので、よく知っていることではあります。全く関係ない、それも金融と全く別のところからいきなり証券取引等監視委員会に来て、もう目の前にある課題に手いっぱいになってしまって、まさに中長期的に証券市場をどういうふうに活性化していくかという視点からどういう対策を講じていくのかということも余り考える余裕もないまま、一年、二年が終わって、またすぐローテーションがあってほかの部署に移っていく。
それが、そもそも財務省と金融庁で分離するというときにも、ある程度金融の専門性、人材という意味で金融の専門性が必要だから、ある程度幹部のレベルでは人間を切り離す、もともとは大蔵省出身であっても、金融庁に行ったらずっと金融庁にいるというふうに、切り離すということが相当議論されてそういうふうになったはずが、最近は人事、ローテーションに関してもどんどん形骸化をしてしまっていて、金融の専門性のためには金融庁にずっと長く幹部もいなければいけない、幹部に限らず実践部隊である課長補佐もいなければいけないという議論がすっかりおざなりになってしまっているという現状を私も小耳に挟んでいるわけであります。そういった現状で、結局、今の組織では、先ほど岩國委員から話がありましたような、本当の専門性、まさに鋭く、早く、深く対応する、そういった人材というのは育たないというふうに私も考えるわけであります。
そこはしっかりと人材の面でも独立をさせる、それを別機関にして、財務省から一人も入れるな、あるいは金融庁から一人も入れるなと言うつもりは私はもちろんありませんけれども、しっかりと人材を育成するとともに、もう既に現場での経験を積んでいるような方をどんどん入れていく、そういった機関を、金融庁と独立した機関をつくる必要があるというふうに私も強く認識する次第なんですけれども、そこで、同じ質問になってしまいますけれども、そういった観点を踏まえて大臣はいかがお考えになるでしょうか、改めてお伺いをさせていただきます。

○伊藤国務大臣
今、委員からは非常に多岐にわたる重要な論点についてお話があったというふうに思いますし、また、提案者の岩國委員からも、私どもがお伺いをしていても大変大切なお話がされていたというふうに思っております。こうした議論をやはり大切にしながら、また、議論を積み重ねながら、市場の監視機能あるいは体制というものをさらに整備していく必要があるというふうに私自身は認識をいたしているところでございます。
まず、人材の問題でありますが、人材は大変重要であるということは、私も全く同じ問題意識を持っております。今の金融庁の体制あるいは監視委員会の体制で、財務省からお見えになられた方々がすべてかというと、そうではなくて、会計士の方でありますとか弁護士の方でありますとか、そうした専門家の方々にも金融庁や監視委員会の組織を支えていただくということを積極的に行っているところでございますし、また、ローテーションの問題もございましたが、今の金融庁の幹部というのは、金融庁が発足して七年になりますけれども、金融庁の発足当時から金融庁を支えてきた、そうした人材が今金融庁の幹部として活躍をされているところであります。しかし、やはり金融庁として人材というものを育成していくということは非常に重要なことでありますので、私も、そうした問題意識の中で、今後の金融庁の体制というものをしっかり整備していきたい、人材の充実に努めていきたいというふうに思っております。
また、監視委員会のあり方でありますが、先ほど来議論になっている市場監視機能の独立性というものを確保していく、これは極めて重要なことであるというふうに思っております。そして、もう一つ大切なことは、市場行政の二元化、ここにかかわる諸問題というものを回避していく、そうしたことから、国家行政組織法の第八条に基づく委員会として証券取引等監視委員会が設置された、そうした経緯であったというふうに承知をいたしております。
その独立性の問題や、あるいは機能というものが十分ではないんではないか、そうした御指摘がなされているところでありますが、監視委員会は、行政処分権は有しないものの、金融庁設置法上、証券会社の検査等の結果に基づいて金融庁等に行政処分を求める勧告を実施できることとされており、また、規則制定権は有しないものの、金融庁設置法上、証券会社の検査等の結果に基づいて金融庁等に建議を実施できることとされておりますので、このように、金融庁は監視委員会の職権行使に介入することなく、また、私の通常の権限のもとにはありません、勧告や建議に基づいて市場行政を運営していく仕組みとなっているというふうに考えております。
また、コングロマリットについても先ほどお話がございました。私も、日本版SECの問題については、金融行政を担当させていただく前、勉強会に参加をさせていただき、またニューヨークのSECの方々とも意見交換をさせていただいたことがございます。そうした意味で、民主党の方々がこういう提案をされる背景については承知をいたしているところでございますけれども、金融行政をこの二年半担当させていただいて、先ほどコングロマリットの問題については、これはチープな発想、そういう強い意味で岩國委員からお話しになられたことではないというふうに思いますけれども、コングロマリットの問題は、海外の金融当局の方々と意見交換をしていても、これは重要な問題だというふうに私自身は実感をいたしておりますし、また、そうした観点から、先ほど委員から御紹介がございましたように、イギリスにおいてはやはり一元的な組織のもとで対応していく、そうした組織の中で、イギリスの市場というものも、これは国際的な主要な市場でありますから、その中でしっかりとした機能がなされているんではないかというふうに思っているところでございます。
いずれにいたしましても、市場監視機能の強化、そして体制の整備というものは非常に重要なことでありますし、金融審議会におきましても、投資サービス法の議論におきまして、その中の重要な論点としてこうした問題についても議論をしていくということでありますので、こうした金融審議会の議論にも注視をしながら、私どもとして、この機能や体制整備について不断の努力を続けていきたいというふうに思っております。

○田村
ありがとうございました。
繰り返しになりますけれども、結局、今の財務省と金融庁、金融庁の中に証券取引等監視委員会があるという中で、人材をどのように、本当に専門性の高い人材をいかに幹部に登用するかということは、それが今のようなローテーションではなかなか難しいだろうというのは、はたから見ていても非常にわかるところであります。特に、金融というのはさまざまな政策の中でも非常に専門性が高いということは、私自身が財務省にいたといっても金融部門の経験が非常に少ないために今勉強に非常に苦労をしているというところからも実感をするところでありまして、幾ら優秀な財務省の人であっても、二年三年、あるいは三、四年、長目に言って五年でもいいですけれども、五年間金融部門にいたからといって、しっかりと現場を含めた深い知識、判断力が備わるとはとても思えないということを重ねて申し上げさせていただきたい。
確かに、大蔵省から分離をして金融庁に独立をしてから、今は金融庁のプロパーのまさにI種のキャリアの人がいるという、採用しているわけですけれども、そういった人が幹部になるのは十五年以上先なわけですので、それまで待っていては、ますます日本の証券市場というものも活性化されないまま、信頼を回復しないままに時が過ぎていくんではないかという危惧を私も強く持っている次第であります。
そして、独立性に関してまた改めて申し上げると、今の証券取引等監視委員会、まさに伊藤大臣の下にあるわけでありますけれども、しっかりと独立をする。それは、先ほど平岡委員から前大臣の発言の話がありましたけれども、政治家や経済人といった大物に対してもしっかりと対応していく。とにかく、政治に振り回されない。そういった独立性というものがあってこそ、市場の信頼というものは回復できるんだろう、そういう面も非常に強くあるんだろうというふうに私も考えていることを改めて申し上げさせていただきたいと思います。
日本版SECの民主党の提案についてはこれぐらいで終わらせていただきまして、政府の法律案について質問をさせていただきます。
まず、公開買い付け規制の適用範囲の見直しでありますけれども、先ほど石井議員との議論でも話に出ていましたが、今回の改正というのは、ライブドアのニッポン放送の株式買い付けの話があって、急遽慌てて対応したというのが明らかなような、ある意味ではつけ焼き刃の対応のようにも見えるわけですけれども、そもそもこういった立ち会い外取引について、ある意味で公開買い付け規制の脱法的な行為ができるというような問題点というものを以前から把握していらっしゃったのかどうか、そのことについてお伺いをさせていただきます。

○増井政府参考人
お答え申し上げます。
今先生から御指摘のありました今回の公開買い付け制度の適用範囲の問題でございますけれども、いわゆる立ち会い外取引というのは、平成九年の導入以降、一般に機関投資家のポートフォリオの入れかえ、あるいは持ち合い解消、さらには自社株取得等の取引に使用されております。今回のように会社支配を目的とした大口の買い付けに用いられるということは、想定をして導入されたものとは私ども承知しておりません。
しかしながら、今回の立ち会い外取引、その使い方によって会社支配を目的とした大口買い付けにも利用することが可能でありまして、これを放置すると公開買い付け制度の形骸化を招きかねないということから、今回、証券取引法の改正法案を提出したところでございます。

○田村
いつから把握していらっしゃったのか、ちょっとはっきりわかりませんでしたけれども、恐らく、何となく認識していた人もいれば、そうでない人もいたのかなと。結局、認識していた人も、問題が起きていないし、実際ライブドアのような大胆な行為に出る企業はなかったわけですから、そういった法整備というのは抜け穴はあっても大丈夫だろうというふうに思っていた人がいたか、あるいはそもそもそういう認識を持っていない人がいたか、それはまさに二、三年のローテーションで担当者によって違ったのかもしれませんけれども。
今回のライブドアの件で急遽対応なさるということのようですが、昨日の本会議でも、伊藤大臣が、公開買い付け制度に関する質問は日常的に金融庁に寄せられており、これに対しては、従来から、立ち会い外取引は現行法上基本的には公開買い付け規制の対象とされていない旨の回答を行っているところですという答弁をしていらっしゃったと思いますけれども、個別な話はお答えできないということになるのかもしれませんが、例えば一般論として、立ち会い外取引によって大量の株を買収するというようなことが公開買い付け規制の対象となるかどうかといったような問い合わせというのは、最初に受けたのはいつごろでいらっしゃいますでしょうか。

○増井政府参考人
お答え申し上げます。
今先生の御質問の公開買い付け制度の、いわゆる立ち会い外取引の取り扱いということでございますが、公開買い付け制度の適用範囲の解釈をめぐる一般の方からの御質問というのはいろいろな形で日常的に寄せられているということもございまして、今のような御質問の、いつごろから寄せられているのかということについては正確にお答えすることがなかなか難しいということでございまして、そういうことを御理解いただければというふうに思います。

○田村
現状がそのようであることは十分に理解させていただきますが、結局、実際、過去にそういう問い合わせがあったのかどうか全くわからないということでありますけれども、先ほどの人材の話にも連動すると思うんですけれども、担当者というのがくるくるかわってしまう、担当者の継続性が非常にないために、仮に問い合わせがあったとしても、自分の任期が終わって別のところに行けば、それが次の担当者には引き継がれないというような部分も恐らくあるんだろう、あるいはそういった面が多々あって、今回の件も今まで対応されていなかった可能性もあるんじゃないかなというふうに私は想像もする次第であります。
そういった意味では、今回の件もある意味で後手後手の対応というふうに言えると私は思うんですけれども、大臣はいかがお考えになるでしょうか。

○伊藤国務大臣
これは、先ほども答弁させていただきましたように、証券取引法につきましては、その時々の金融、経済をめぐる情勢や証券市場をめぐる状況の変化に対応して、そして、投資者保護等の確保を図る観点から、必要に応じて改正を行ってきたところであります。その際には、過剰な規制によって市場の活力というものをそいでしまうあるいは低下してしまうことがないよう、また、証券取引の円滑性というものを損なわないようにしていく、こうした点にも留意をすることも大変重要なことであるというふうに考えているところであります。
今回の改正案につきましては、現下の証券市場をめぐる情勢の変化に対応していくため、取引所の立ち会い外取引のうち、相対取引と類似した取引についてTOB規制の対象とするものであります。
金融庁といたしましては、今後とも、市場の動向というものを注視して、そして金融経済情勢や証券市場をめぐる状況に迅速に対応し、適切な制度構築に努めてまいりたいと思います。

○田村
今回の件に限らず、今まで金融庁が適切に必要に応じて先も見越して対応していらっしゃったら、日本の証券市場ももっとはるかに活性化をしていたのではないかなというふうに私は強く思っているんですけれども。例えば、必要に応じて規制をかける。確かに、市場において規制というのは非常に重要なわけですけれども、その一方で、過剰な規制というのは当然控えなければいけない。そのバランスの問題になるというのは、まさに大臣のおっしゃるとおりだと思います。ただ、仮にその観点から考えた際に、今回はライブドアがそういう抜け穴に近いような形で行った、それに関して批判もあった、だからそれは必要なんだ、要は過剰な規制ではないんだというふうにも聞こえなくはないと私は思うんです。
そこで、今回の改正案においては、まさに立ち会い外取引、ライブドアがやったような行為については公開買い付け規制を適用するというふうになさったわけですけれども、その議論に関し、例えば、立ち会い外取引で三分の一のちょっと手前まで買い付けをして、その後三分の一を超える分を立ち会い取引ですぐに買い付けるといったようなことも、例えばです、そういった脱法的な行為というのは考えられなくはないなというふうに思うんですが、結局、モグラたたきなのか、どこまでが過剰な規制なのか。議論として、実際、そういった脱法的な行為というのは考えられるのではないかということについてはいかがお考えでいらっしゃいますでしょうか。

○伊藤国務大臣
お答えをさせていただきます。
例えばということでございますので、その御指摘の点については、やはりケースごとに具体的な検討が必要であるというふうに考えております。
一般論としてお答えをさせていただくとするならば、あらかじめ三分の一を超える株券等を買い付ける意図を持って、初めに三分の一ぎりぎりまでの株券等を取引所市場外で買い付け、その後、残りの株券等を取引所市場で買い付ける場合、当該三分の一を超える買い付け全体が一つの買い付けであるとみなされるような脱法的なケースにおいては、この買い付け全体または取引所市場外分を公開買い付け規制の対象と解する余地があるものと考えております。

○田村
ありがとうございました。
実際、ライブドアの具体的な件があって、それを規制する、規制の網をかけるというだけじゃなくて、まさに今大臣がおっしゃったように、幅広く、それも過剰ではなく、過剰ではないというのは非常に重要だと思いますけれども、将来あり得るようなケースもしっかりと想定をした上で、今回の規制についても整備していただきたいというふうにお願いをさせていただきます。
また、その関連としまして、脱法的な取引行為ではなくて、また別の観点になりますけれども、立ち会いクロス取引というものがあります。取引所における立ち会い取引による売買のうちで、同じ証券会社が同じ銘柄に同じ値段で同じ数量の売り注文と買い注文を同時に出して、意図的に一挙に売買を成立させるというような取引が立ち会いクロス取引ですけれども、そのクロス取引を利用して有価証券、株などを売買しようとする人というのは、あらかじめ予定する売買の価格及び数量、そして時には売買取引をなすべき有価証券市場及び時間について合意をして、それを指示して同一の証券会社に売買取引の委託をする。そういった場合、有価証券市場における当該銘柄の有価証券の売買取引の状況によりますけれども、しばしば予定の価格及び数量でクロスによる売買取引が成立して、結局クロスを利用してその売買を達成することができる。そのクロス取引によって三分の一を超えるような株を一挙に取得することができるというのは、前から問題点として指摘をしている人が、識者がいらっしゃいますけれども、それについては今回の規制の抜け道として利用されるといったようなことがないのかどうか、お考えをお伺いします。

○伊藤国務大臣
今、委員から御紹介がございましたが、立ち会いクロス取引とは、立ち会い内において同一証券会社が売りと買いの注文をほぼ同時に出す取引であり、取引所市場内の取引と承知をいたしております。
取引所市場における売買につきましては、基本的には、証券取引所の自主ルールによる売買管理のもとに公正な取引の履行が確保されているものと考えられること、また、価格変動、売買数量等の情報が証券取引所により公表され、そして、投資者はそうした情報に基づいて投資判断することができることから、今回の法案においてもTOB規制の対象とはしておりません。
いずれにいたしましても、私どもといたしましては、市場の動向というものを注視して、市場の公正性、透明性の観点から措置を講じる必要性が生じれば適切に対応をしていきたいというふうに考えております。

○田村
ありがとうございました。
とにかく、今回のライブドアの件のように、また何か具体的な事例が起きて、それによって問題が非常に顕在化をされて、またその部分だけ対応するというような、後手後手、つけ焼き刃の対応にならないように、その点はしっかりと今後も早急な検討をしていただきたいというふうに私の方からお願いをさせていただきます。
さて、次に、上場会社の親会社に対する情報開示の義務づけに関連してでありますけれども、昨年の十一月に、金融庁から金融審議会の金融分科会第一部会ディスクロージャー・ワーキング・グループに対して、四つの具体的な検討の要請があった。その四つというのは、財務報告に係る内部統制の有効性に関する経営者の評価と公認会計士等による監査のあり方、二つ目が継続開示義務違反に対する課徴金制度のあり方、三つ目がコーポレートガバナンスに係る開示の充実のあり方で、四つ目として、今回改正案の中に入っている、親会社が継続開示会社でない場合の親会社情報の開示の充実というのを取り上げたわけでありますけれども、結局それだけが今回の改正案に取り上げられていて、例えば二点目に取り上げられている継続開示義務違反に対する課徴金制度というものが今回は見送られているということになっているわけですけれども、それについて若干お伺いをさせていただきます。
そもそも、金融審議会で非常に前向きに検討をしていらっしゃったはずで、金融審議会の報告書を見る限りでは、もうすぐに導入するんだというふうに、すぐにでも導入するというに近いような表現ぶりがされていたと思いますけれども、結局、継続開示義務違反に対する課徴金制度が今回法案に盛り込まれなかった理由をお伺いいたします。

○伊藤国務大臣
金融庁では、これまでも有価証券報告書などの継続開示書類の虚偽記載に対する課徴金制度の導入に向けて法制面の詰めの作業を行ってきたところであります。しかしながら、現行の証取法の体系のもとで継続開示義務違反に対する課徴金制度を導入するには、課徴金制度の導入の基礎となる、違反行為により得られた経済的利得の内容及び算定方法、課徴金と刑罰規定との関係など、引き続き慎重に検討をすべき課題が少なくないことから、今国会に提出した証取法改正案では、継続開示書類の虚偽記載に対する課徴金制度の導入を盛り込むには至らなかったところであります。
金融庁といたしましては、継続開示義務違反に対する課徴金制度の導入の検討自体を断念したわけではありませんので、今後、さらに検討を深めていきたいと考えております。

○田村
ありがとうございました。
今大臣が、断念したわけではない、前向きに検討していきたいというふうにおっしゃっておられましたけれども、そうしますと、前向きに検討なさって、いつごろをめどにその実現を考えていらっしゃるのでしょうか。

○伊藤国務大臣
まず、検討に当たりましては、金融庁内においてこれまでの検討の経過というものを整理して、その上で今後の対応というものを考えていきたいというふうに思っておりますので、現時点においてスケジュールについて具体的なことを申し上げる段階にはございません。

○田村
ありがとうございました。
先ほど大臣の方からお話もございましたけれども、金融庁が断念をした、先ほど大臣が御説明した理由というのも、そもそも、法案をつくって内閣法制局に金融庁から持っていったところ、そこでそういった問題点を指摘されたというふうに聞いていますけれども、改めて法制局の方に、課徴金制度についてどういった根拠でどういった問題点を指摘なさったのかということをお伺いさせていただきます。

○山本政府参考人
御説明申し上げます。
この問題を申し上げる前に、そもそも現在の課徴金制度はどういうものかということをまず申し上げたいと思うんですけれども、現行の課徴金制度というのは、カルテルやインサイダー取引、そういった経済的利得を目的とする法令違反につきまして、違反行為によって得られる経済的利得相当額を基準とする金銭的負担を課すことによりまして、違反行為がいわばやり得になるということを防ぐとともに、違反行為の防止という行政目的を達成するというものでございます。
このようなものである限り、現行の課徴金制度は、その目的のために必要なものということで、憲法三十一条が規定する適正手続の要請にも合致しておりますし、また、その趣旨、目的、手段などを前提といたしますと、憲法三十九条後段が規定する二重処罰の禁止との関係も問題にならないというふうに理解しております。
それでは、この継続開示書類の虚偽記載についてはどうかと申しますと、まず、それによって得られる経済的利得というのはあるのかどうか、それから、あるとしてそれは一体何か、そして、それをどうやってその水準を算定するのかということが実は必ずしも明らかではないということでございまして、そもそもこの課徴金という制度が違反行為の防止という目的のために必要かつ適切な手段であって、憲法三十一条や、とりわけ憲法三十九条後段との関係で問題がないかどうか、しばらく時間をかけて慎重に検討すべきものというふうに考えた次第であります。

○田村
どうもありがとうございました。
この件についても民主党として非常に問題意識を、民主党は、私に限らず民主党の各委員が問題意識を持っていますので、そういった今の法解釈についての深い議論というのはほかの議員もすると思うんですけれども、若干違う視点で一言だけ私の考えを申し上げさせていただきますと、そもそも内閣法制局の存在意義という話になるわけなんですけれども、例えば、先日レクにも来ていただきました金融庁の担当の内閣参事官というのは、財務省からの出向者で、二、三年のローテーションという中では、たしか大体四、五年ぐらいその参事官をなさいますので、長いとはいっても、それはもともと財務省の人であって、決してあらゆる法制についてのプロではないというのは、そもそも法制局全体について言えるんだろうと思います。
そういった人たちがやっている法制局が、ある意味で内閣の法制局なのにかなり独立性を持っているというのは、先ほど証券取引等監視委員会の独立性の話になりましたけれども、そこが私は非常におかしいなというふうに思っておりまして、その点に関して、別に金融庁の後押しをするわけではありませんが、結局法制局に負けて今回断念したというのは、現在の非常にいびつな組織体、まさに法制局の存在意義を含めてさまざまな問題点が出てきた一つの発端なんだろうというふうに私は真剣に思っております。
法制局に関してもう一言言うのであれば、別に国会の中に法制局があればそれで十分なんだ、本当に憲法に疑義があるかどうかというのは裁判所が判断するという話なんだろうというふうに思います。憲法九条に限らず、法制局の見解というのがよくいろいろ出されますけれども、柔軟な解釈をする場合もあれば、今回のように憲法の疑義ということではねるというのはいかがなものなのかなというふうに一言だけ申し上げさせていただきたいというふうに思います。
時間も限られてまいりましたので、今回の法律案には直接関係しませんけれども、最近出てきた話として、そういう意味ではちょっとそれるわけですが、ちょうど民主党側の委員もいらっしゃいますので、それぞれの見解をお伺いしたい。カネボウの粉飾決算の件であります。
ごく最近の話で、民主党としても今まさにヒアリングをしている途中でありますので、私も明確な意見というのはまだ固まっていない部分もありますけれども、過去何年にもわたって決算の間違いがあった。そういった中で……(発言する者あり)そうですね。間違いというか、まさにそれを隠していた、債務超過を含めさまざまなことを隠していたという事実が明らかになった中で、それでも引き続き再生機構は支援を継続するというふうにおっしゃっているわけですけれども、その理由というものを大まかに教えていただければと思います。

○藤岡政府参考人
お答え申し上げます。
産業再生機構でございますが、機構は、支援決定時におきます実態としての財務状況等を把握するとともに各事業の将来に向けての収益性を精査することによりまして、事業の再生可能性を判断することといたしてございます。
お尋ねのカネボウにつきましても同じでございまして、支援決定時におきます実態としての財務状況等を把握いたしまして、再生可能性を見きわめた上で支援決定を行っております。過去の決算の訂正自体が機構の支援の前提に影響を与えるものではないと承知いたしております。

○田村
御説明がいまいちよく理解できない部分もあるのですけれども、時間も限られていますので、問題意識の提起という意味で淡々と進めさせていただきます。
ほかの論点として、そもそも上場廃止になるのではないかという話があると思います。まさにきょうの民主党の部会のヒアリングでいただいた資料にも、上場会社が財務諸表等または中間財務諸表等に虚偽記載を行い、かつ、その影響が重大であると東京証券取引所が認めた場合には上場廃止に当たるというような基準を出していらっしゃるわけですけれども、それについては再生機構としてはどのようにお考えでいらっしゃるのでしょうか。

○藤岡政府参考人
お答え申し上げます。
産業再生機構に持ち込まれました事業にございまして、まさに事業再生が可能と判断されます案件につきましては、東京証券取引所におきます上場基準についても、その条件が緩和されるということになってございます。この理由は、そもそも、先ほど申し上げましたが、この事業が現時点から将来にわたってまさに事業再生可能性ありということを前提にして判断された決まりであるというふうに承知してございます。
したがいまして、何度も申し上げるようで恐縮でございますが、過去のいわゆるそういう決算、活動に伴う影響というものを前提としておるものではないというふうに承知いたしてございます。

○田村
将来将来ということで、過去のことはどうでもいいというように聞こえるのですけれども、それについて、ちょうど民主党側の委員もいらっしゃいますので、民主党の法案提出者の御意見をお伺いできればと思いますが、いかがでしょうか。

○岩國議員
田村委員の御質問にお答えします。
カネボウの経緯について我々もいろいろなところから情報を集めておりますけれども、まず、機構が支援を決定した段階でどの程度決算数字を検証しておったか、その点について大いに疑問があるのですね。支援を決定してから調べてみた。そして、五月三十一日にいろいろな数字がわかった。十月二十八日にさらに詳細な発表がなされた。一般に、投資家、一般の株主は、政府の機構である産業再生機構が支援を決定し、さらに中へ入って数字も洗って、こういう点がおかしかったと発表すれば、もうこれ以上おかしいところはないだろうと思うのが十月二十八日です。十月二十九日からは産業再生機構なる政府機関とカネボウとの共同犯罪だ。共犯が成立している。その共犯関係のもとに、またこの四月になってそういう数字が出てきたというふうにこれを認識しなければ、こういうことはこれから後を絶たないと私は思うのです。
政府が支援決定し、それをマーケットに伝える、中へ入って調べる、台所まできちっと精査してこれ以上おかしいところはありませんと言わんがばかりの発表をしておいて、安心してその株価でもって一般投資家を勧誘し、また今度は二段仕掛けでこういうことが行われる。この点についてはもっと慎重であるべきだ、私はそのように思います。

○田村
ありがとうございました。
今御説明いただきましたように、さまざまな問題がある中で、結局、そのような対応をしていては、幾らほかの、今回の改正案で幾つかの項目がありますけれども、そういった改正をしても、証券市場の信頼というのはなかなか回復できないのだろうということを一言御指摘をさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

▲TOP

copyright(C) 2003 TAMURA KENJI All rights reserved.