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2006年02月16日 衆議院本会議

民主党の田村謙治です。民主党・無所属クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました「所得税法等の一部を改正する法律案」について質問を致します。

最近「格差社会」という言葉、そして「格差社会」が生み出す様々な歪みについて、眼にすること、耳にすることが多くなりました。小泉首相は2月1日の参議院予算委員会で、「私は格差が出るのは別に悪いこととは思っておりません。」と述べられています。
民主主義・資本主義を標榜している我が国において、ある程度の格差が出るのは当然でありましょう。しかしながら、それはすべての人が公平に機会を得られる制度づくりを進め、その中で正当な努力と才覚が報われるようにするということでなければなりません。
その場合、政府は、底を上げる方向での格差是正に取り組まなければならないのですが、小泉改革はまったく逆のことを行っています。「改革には痛みが伴う」と言いながら、郵政民営化など華々しく見える小泉改革の「影」で、与党や政府の既得権益は温存し、不正による利益を得ている事件が後を絶たず、何の罪もない一般庶民に痛みを押し付ける形で格差を拡大させています。

その典型的な例が、定率減税の廃止です。
「所得税等負担軽減措置法」には、その第1条に、「抜本的見直しを行うまでの間、所得税法及び法人税法の特例を定めるものとする」と明記されております。政府は、「近年の税制改正において人的控除を見直すとともに、18年度税制改正において個人住民税の税率を10%にフラット化するなどの税率構造の見直しを進め」てきたことが「抜本的見直し」であるかのように言っています。
小泉総理が行った人的控除の見直しは、配偶者控除の上乗せ部分廃止で、所得税、住民税あわせ7300億円強、老年者控除の廃止で2200億円強、公的年金等控除の縮小で1200億円弱の増税です。人的控除を整理するとともに、給付の切り下げを行うだけでは、単なる負担増のオンパレードにすぎません。
我々民主党も各種控除の見直し自体は行うべきであると考えております。高所得者に有利な所得税の所得控除よりも、必要な人に対し確実な支援が可能となる給付を中心とする仕組みに変えるべきという考えのもと、例えば、扶養控除を廃止し、その代わりに、子ども1人当たり月額1万6000円の子ども手当の創設を、我々民主党は提案しています。このような提案こそが、人口減少時代に相応しい本当の抜本的見直しなのではないでしょうか。
人的控除の見直しによる負担増に加え、定率減税を廃止すれば、中低所得者層の負担が過重になることは目に見えています。それでも、定率減税廃止は問題ないと政府は考えているのでしょうか。明快な答弁を求めます。

そもそも、抜本的見直しと言うのであれば、所得税のみの見直しではなく、消費税もふくめた税制全体を抜本的に見直すべきではないのでしょうか。
年金一元化の議論の際にも、厚生年金と国民年金の統合は困難であると政府は言い、その理由の一つとして、自営業者は所得の捕捉が十分でないことを挙げていました。
民主党は、納税者番号制度の導入や、消費税にヨーロッパの付加価値税のようなインボイス制を導入することなどを提案していますが、これこそが「抜本的見直し」であり、クロヨンとも言われる所得捕捉の不公平についての対策はタナアゲにして、所得税を少しいじっただけでは、抜本的と言うに値しません。
「おかねをつかう人が払う」という意味で、所得税より公平な消費税には手をつけずに、所得税のみを増税するのは、所得が完全に把握されている給与所得者、サラリーマンを狙い撃ちにしたものとしか考えられません。「とりやすいところからとる」という安易な姿勢が、ますます社会の格差を拡大させるのではないでしょうか。財務大臣のお考えを伺います。

1年あまり前のことですが、当時の自民党の与謝野政調会長と公明党の井上政調会長の間で「平成17年度予算・税制に係る合意」が取り交わされました。その合意によって、17年度においては定率減税の見直しによる増収分の大半を基礎年金の国庫負担に充てることとされました。与謝野大臣は政調会長当時、どのような理念に基づいてこのような合意をされたのでしょうか。
当時、総理は、年金についての抜本的改革をしたと強弁されていましたが、それも保険料率を引き上げて負担を増やす一方、給付を引き下げるというその場しのぎで、とても抜本的改革には程遠いものでした。この「見直し」さえも、実際の出生率とは異なる数値を前提に「偽計」したものであり、その責任を誰もとっていません。国民年金の保険料不払いが増加の一途であることは、年金の抜本的改革を行っていない政府の怠慢を象徴しています。
平成18年度の予算においても、定率減税の廃止による増収分の一部、2200億円を基礎年金の国庫負担に充てるとの与党合意がなされたと聞いております。
それは、未納や未加入が無い給与所得者、サラリーマンに更なる負担を押し付け、多くの国民年金の保険料不払いを肩代わりさせるものに他なりません。政府の考えを伺います。

政府は、我々民主党が主張している年金一元化のような本当に抜本的な改革には手をつけずに、「抜本的見直し」「抜本的改革」という言葉で、その場しのぎの見直しを粉飾しようとしました。今回の所得税改正を抜本的見直しと言うのも、政府の怠慢をごまかす粉飾ではないでしょうか。

昨年の総選挙で自民党は、税制改革、年金改革、地方分権、外交など、郵政民営化以外の重要な国政課題について、マニフェストには、数値目標や達成期限などほとんど具体的な記述はありませんでした。定率減税の廃止について、本年1月25日、参議院本会議にて、我が党の岩本司議員が、「公約違反である」と指摘したことに対し、小泉総理は「これまでの与党税制改正大綱等に既に示」していると答弁されました。与党の文書に記載されているから問題ないということであれば、自民党は総選挙マニフェストを何のために出しているのでしょうか。また、すでに決定した方針であったのなら、定率減税廃止の有無について、民主党が選挙戦中に重ねて問うたにもかかわらず、なぜ自民党は有権者に説明をしなかったのでしょうか。有権者に説明しなかったどころか、小泉マニフェストには「所得税については、所得が捕捉しやすい『サラリーマン増税』を行うとの政府税調の考え方はとらない」とまで記述してあります。これこそ、選挙で、自民党株を上げるための「風説の流布」そのものではないでしょうか。

次に、個人住民税の税率フラット化について伺います。
個人住民税の税率は、5%、10%、13%の3段階になっていましたが、それを10%に一本化するのは、「三位一体改革」の一環として行われるものです。「三位一体改革」では、国庫負担率引き下げなど、地方の裁量が広がらない形で国庫補助負担金の削減が行われました。つまり、税源移譲が行われても、中央から地方へ権限が移譲されないのであれば、それは「三位一体改革」と言うに値しません。そのような粉飾の改革にともなう個人住民税の税率見直しは「抜本的見直し」と言えるのでしょうか。総務大臣の明快な答弁を求めます。

次に、消費税率引き上げについて、お尋ねします。現在、政府与党内で消費税論議が騒がしくなっています。
谷垣大臣は、事あるごとに、消費税率引き上げ反対論を牽制し、来年の通常国会にも消費税率引き上げ法案の提出を目指すべきとの考え方を示しています。その一方で、「消費税増税より歳出削減を先行すべき」と言う自民党幹部もいます。
増税よりも歳出削減を先行すべきということは、かねて我々民主党が主張してきたことです。歳出削減については、行政改革や公共事業の大幅カットなど、3年前の前々回の総選挙のマニフェストから掲げ、昨年の総選挙においても、政府のムダ遣いを徹底的になくすことを一番に約束し、具体的な数値目標を入れた歳出削減計画を示しました。我々民主党からみれば、今頃になって「歳出削減を」と言い出すこと自体が遅すぎるのです。
先日、防衛施設庁の談合事件は、防衛施設庁幹部の逮捕に発展しました。8年前に、防衛庁の背任・汚職事件が起こった際、今と同じ額賀防衛庁長官のもとで、調達実施本部を解体するなどの改革を行ったはずでしたが、その体質は何ら変わっていませんでした。当時の防止策も、見せかけにすぎなかったのです。
防衛施設庁の役人が、公益法人などの外郭団体に天下りをして、数年後には関連業界に天下りをする。役人と関連業界がグルになって談合を繰り返してきました。 天下りについて規制強化をしたはずが、全くの尻ぬけになっていたのです。民主党の予備的調査によって、3,987団体に22,093人もの役職員が天下り、それらの団体に5兆5395億円もの補助金などがつぎ込まれていることが明らかになりました。結局は、国民の税金が食い物にされてきたのです。このような実態を放置している今の政権に、徹底した歳出削減ができるとは到底思えません。
まともに歳出削減が出来ないのに、消費税増税を先送りするというのは、単に問題を先送りし、財政再建をタナアゲするにすぎないと思いますが、ご見解を伺います。

最後に「たばこ増税」についてもお伺いいたします。この問題は、直接「格差社会」とリンクはしませんが、小泉総理の税制への考え方を如実に表しているものと受け止めております。「たばこ増税」は、年末の税制改正の土壇場で盛り込まれました。これは総理の「国債30兆円枠」と公明党の「児童手当拡充」の双方を両立させるための苦肉の策であり、その結果、何の理念も理屈もなく、「とりやすいところからとる」という発想のもと、喫煙者に負担を押し付けることになったのではないでしょうか。「たばこ増税」の目的は何か、増税幅はどのような理由で決まったのか、明快な答弁を求めます。

本改正法案における抜本的見直しというのはまったくの「偽装」であり、ただちに構造計算をやり直して再提出すべきです。
最後に、我々民主党は、今国会において、小泉改革が「影」を生み出した原因を徹底的に明らかにするとともに、格差社会を是正し、ぬくもりのある社会を実現するための本物の改革案を打ち出していくことを表明して、私の質問を終わらせていただきます。

 

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